「前々から言ってるじゃん、手に入れたいもののためならそんな犠牲は些細なものだよ」
「やたもも」が好きなので、
「これは一体…誰が幸せな話なの…?」
というお気持ち。
おきもちぃ〜!
あんまり褒めてないからだめな人はUターンで
私としては、これが最高傑作。メシア君がヒンヒン、博士がヒンヒン、このアホさ加減が最高の醍醐味。
- サイコパス福介と真面目不器用笑吉の美容室で内輪もめラブストーリー…
- 「電気責めってニッチだよね」
- 笑吉の泣き顔が大好きな福助の良心はどこに!!!
あらすじ
笑吉の働く美容室に福介が入社してからというもの何かとぶつかりあうふたりだったが、笑吉の周りで不気味な出来事が起き……!?
笑吉に並々ならぬ執着を持つ福介は、様々な手を使い、笑吉を手に入れたが、彼にとって自分がまだ一番の存在になれていないことに不満を抱いている。もっともっと笑吉を独占するために……!?
(Rentaより引用)
感想
「なんともいえねえ」
という初読の感想。
…でもここは俺のインターネットだ好きに書くぞ!!!
まず1つ思ったのは、登場人物で幸せな人って誰ですか!?というお気持ち…
福介も自分自身の性質に苦しんでいる箇所があったし、もちろん笑吉は可哀想だし、リクは傍観者のふりをすることで本心を隠しているし、店長美門は一番頭イッてそうだし…
こうしてみると一祝(カズノリ)が一番善人で人間的な気がしてきた。
福介の性質
彼はサイコパスですね。
はらださんもそれをはっきり意識して書いているし、はらだ作品にはサイコパスっぽい男が頻出する。
作中で、
リク「サイコパスって共感能力と罪悪感が欠如してるっていいますけど、あったんですか?」
福介「サイコパスじゃねえ、そうやって聞きかじった言葉でレッテル張りするやつ俺ほんと嫌い」
(『カラーレシピ』はらだ)
というやり取りが出てくるんだけども、福介よぉ…お前はサイコパスかなあ…
でもサイコパスの性質を持った人自身が、聞きかじった言葉でレッテル張りするなというのはまさにそのとおりだと思う。
アスペだなんだと最近簡単に口に出しすぎだ。
サイコパスの特徴は調べればいくらでも出てくるけども、「他者に危害を加える犯罪者気質」という部分に重点を置きすぎだし、「サイコパス=犯罪者」という考えで広まってしまったのは本当に残念に思う。
サイコパスが「目的のために何の犠牲もいとわない」という中には、実は自分自身のことも入っていて「何かを成すためには自分の体が壊れても続ける」というような人も存在している。
他人を壊してしまうサイコパスもいれば、自身を壊してしまうサイコパスもいることを知ってほしい。
さて、作中描かれるほぼすべての行動が「笑吉を手に入れるため」に起こしてるものなのだが、唯一見せる「かわいそう」という感情に着目してみたい。
総て欲望に忠実な本心の中で、唯一笑吉を手に入れるために考えなくてもよかったであろう「かわいそう」という気持ち。
私ははじめこれが彼の良心なのかもしれないと思った。
のだが!よく考えてみれば、最初の出会いで人に嫌われ悔し涙を流していた笑吉に一目惚れをしたわけで、お人形のようになってしまった彼を手に入れても何の意味もないのである。
結局、すべての行動が笑吉を手に入れるためだった。
笑吉が総てを知ってしまったときの反応
嫌いだから嫌がらせをされたという受け止め方は少し不思議に感じた。
単純に裏を返せば「好かれていると思っていた」ととれる。
好意を向けられていたはずなのに実は嫌がらせをされていたというショックが「嫌がらせ」という思考にたどり着いた。
まあだから、笑吉はまんざらでもなかったんじゃないのかなあ。
福介は周りに嫉妬しないでゆっくり間合いを詰めていけばもっと普通に手に入れられたように見えるけども、すぐ欲しい!!今欲しい!!だから無理なのね…
意味深な終わり方をしたので、今度は急激に間合いを詰めていくやり方ではなく、ゆっくり真綿で首を絞めるように丸呑みにしてしまうんだろうなと思う。
がんばぇ〜!しょぅきてぃ〜!!
リクが好きなのは笑吉か福介か
うーん、だいぶ読み返したけどわからない!!!
でもやっぱり同族を求める気持ちがあるようだから、無意識に福介のことが好きだったのだろうな。
めちゃくちゃになってしまうまでほっておいたのも、二人の関係が壊れてしまうことを願っていたように思える。
人の本心というのは、自分自身でもはっきり捉えられないもんだなあ。
まとめ
なんだかんだいいながらも、老婦人の白髪染めをそれなりの色に指定していたのは結局美容師という仕事に愛着があるからで、「笑吉」だけに執着が向けられているわけではないと感じて安心した。
笑吉・福介・リクとわちゃわちゃしていたが、その中事後報告を受けたり真相を知らなかったりという立場の店長・美門さんは本当に知らなかったんだろうか?と考えたときちょっとゾッとした。
店の経営者であるのだし、それなりに若く独立して嫉妬もされていたのならやり手のように思える。
しかし、福介の本質にも、笑吉の様子のおかしさにも深くは言及しない。
実は全て知っていて…?
結局、店から優秀なスタイリストが二人去ってしまうのだからそれはない…と思いたい終わりだった。