5月の連休を利用してちょっくらアイスランドに行ってきました。
ということで今回は入江亜季「北北西に曇と往け」(☓北北西に雲と行け☓北北西に曇と行け)の舞台であるアイスランド旅行についてまとめていきます。
アイスランドまでの旅程
日本からアイスランドへの直行便は出ていないので、中国・韓国・シンガポールあたりかヨーロッパ圏に入ってから乗り継ぎをしなくてはなりません。
そうなるとヨーロッパ圏まで10時間近く飛行機に乗ることになるのでちょっと短くするためアジアで一泊するのもいいかなと考えたんですが今回はイギリスでどうしても立ち寄りたい場所があったため、一旦日本からロンドンに飛んで数日滞在しその後アイスランドへ向かうチケットを個人手配することにしました。
アイスランドに行かれる方で時間に余裕がある場合はついでにもう2カ国くらい巡ってみるのもお得です。
ヒースロー空港の周りには複雑に道が張り巡らされていて車移動だと迂回しながら進まなければいけないので、近隣のホテルや空港ターミナルへの移動はポッドと呼ばれる4人乗りの無人自動車?を使うよう推奨されている。
あまりにも高かったからフロントでタクシートテモタカイって言ったら知ってる!!朝はPODに乗りな!と満面の笑みで言われる始末である。
朝、ホテルの乗り場からターミナルに向かうためポッドの乗り場に向かうとひっきりなしに循環しているためか並んでいる人もおらず数分後にやってきたポッドにビジネスマン風のおじさんと旅行者風のお兄ちゃんと一緒に乗り込みました。気まずい。
ささっと動き出してほぼ空港についた時点でポッドちゃん停車。
朝だし混んでるよなあとのんきに構えていたけど数分待っても動かない。アナウンスはちょっと遅れてるから待ってねごめんねとしか言わないまま30分が経過…やばい
お、おおお下ろしてくれああぁあ歩いていくから…お願い下ろして…
前夜にオンラインチェックインがなぜかできなかったためさっさと行ってチェックインする必要があるのにこのままではアイスランドに行けない!?手汗ベチャベチャで考えてる間に動き出したけどもうそこから猛ダッシュ。
そういえば出国前にも予約したタクシーが来なくて走ってたわたしは馬鹿なのか。
ターミナル5に到着してチケットの番号とパスポートをかざすも、
「このチケットの搭乗手続きは終了しています^^」
と画面に表示される。
おわった。
もうだめだ。
とにかく何回やってもダメなので、到着してすぐセルフチェックインの前にカウンターに特攻しようとしたらまずあっち行けと追い払われたお姉さんを気合でなぎ倒してカウンターのおっさんになんとかしてくれというとまず預け荷物を手続きしてくれた。
いや、まって、あってるけどそれでいいの?と思っていたらチケット出せと言われ、ないねんと告げると普通に発券してくれた。
あああ、ああ、ありがとうありがとうありがとう!!!
と思ったのもつかの間、急いでいけ!というおっさん。
海外のおっさんが急げっていうのはどのレベルで急がなきゃいけないの…?
なにもわかんないけどとりあえず走る、ちなみに搭乗時間はもうとっくに過ぎてる。
生きた心地がしないままゲートに到着するとスーツケースを抱えて山登りスタイルの人たちがまだ大勢並んで待っているではないか!?
案内中の便名を見てもちゃんとあってる…あんなに急いだのに飛行機遅れてた…
飛行機の用意が遅れていることに加えて、ロンドンからアイスランド旅行をする程度なら預け荷物にしないみたいでその手続も時間がかかっていてロスが出たらしい。
事なきを得たけどポッドはちょっとトラウマになった。
「北北西に曇と往け」 に登場するアイスランドの名所を巡る旅|聖地巡礼
「北北西に曇と往け」は主にアイスランドそして日本を舞台にした探偵活劇である。
と書いたけど探偵活劇というのは公式さんがそうおっしゃってるだけで読者としては、日常強めの旅行記+ガイドブックおまけでサイコパス弟が暗躍くらいのもんで探偵はあるものの活劇は…で圧倒的にアイスランドについての紹介描写が多い。
というのも作者である入江亜季さんが「乱と灰色の世界」の連載終了後にアイスランドを訪れ”火と氷の国”が持つ力に魅了されてしまったかららしいが、そう読んで、そう聞くと、これはもうその島へ行ってみたくてたまらなくなってしまった。
ただアイスランドのハイシーズンは夏(6月から)。しかも滞在期間は4泊5日。
本当はぐるっと島を一周したいけど、どう考えても無理。
5月はオーロラも見られないしツアーもメジャーなものしかやっていない。
というわけでいろいろ考慮した結果、
- 氷河を見る
- 温泉に入る
- 滝を巡る
この3点を達成することと漫画に登場した場所を巡ることに決めました。
アイスランド旅の始まりはケプラヴィーク国際空港から
ロンドン・ヒースロー空港から3時間でアイスランドのケプラヴィーク空港に到着。
「北北西に曇と往け」の中では、
- 1巻6話 日本にいる弟の三知嵩(ミチタカ)と連絡が取れなくなり、爺と慧の二人で日本へ向かう飛行機にのるため利用(ヘルシンキで3時間乗り換え待ちの合計16時間半フライト…)
- 2巻12話 慧の親友・清(キヨシ)くんがアイスランドに遊びにきた際に利用(飛行機を降りて外を歩き空港に向かう)
この2場面で登場していました。
ケプラヴィーク空港は島の西の端っこにニョキッと突き出した半島にあります。
着陸の際に窓の外を覗いているとギリギリまで海の上を飛行していくのでちょっとしたスリルを味わえます。羽田と似たような感じ。
ターミナルは1つしかなく小規模の空港ですが、さすが北欧だけあって内部はスッキリと洗練された印象を受けます。
空港の写真がどっかいっちゃって…写真はこれだけ…どこいったの…
まずはアイスランドの都市レイキャビクへ目指すはハットルグリムス協会
空港からまずはアイスランドの首都レイキャビクへ!
アイスランドの総人口約34万のうち12万が住まう街はカラフルな建物と整理された区画でとてもコンパクトにできています。
そして!なんと言ってもこの街一番の見所はハットルグリムス協会
漫画の中では、2巻13話アイスランドを訪れた清を慧が観光に連れて行きます。
この協会の周辺にはビルやマンションといった高い建物がないのでその姿は圧巻。
街のどこからでもこの独創的な塔の部分を見ることができます。
横から見るとこんな感じ。
1945年着工、1986年完成、草稿自体は戦前からあったようだけど戦争が始まり第二次世界大戦終結の年に着工した結構最近の建物です。コンクリート製。
中に入って展望台に上がると街を一望することが出来るんですが、私が行ったのは早朝で予定もつめつめだったため諦めて外観写真だけ撮りました…
進路を東へ!観光名所ゴールデンサークル
アイスランドに来たら絶対に立ち寄るであろうゴールデンサークルという観光名所があります。
実はこれ1つの場所ではなくて3つの名所を結んだルートがサークルのようになっているからというだけの話で、都市部から近くどれも壮大で世界的にも珍しく観光客に大人気のスポットというわけらしい。
ゴールデンサークルに含まれるのはこの3つ
- グトルフォスの滝
- シンクヴェトリル国立公園
- ゲイシール間欠泉
グトルフォスとゲイシールは距離も非常に近く、シンクヴェトリルまで回ってもまだ時間に余裕がありました。
死の体現グトルフォスの滝
まずは強風に押し転がされながらグトルフォスの滝へ。
グトルフォスというのは黄金の滝という意味らしい。
崖の上と下それぞれに行ける道があります。
メインは下の道で滝の中腹まで突き出した岩の上に乗ることができるけどカッパ必須
滝に黒く突き出した部分に道が続きます。
漫画のページとパシャリ。だけどものすごい風とそれに煽られた水しぶきでもうぐちゃぐちゃw
とにかくカメラのレンズがやばいのでササッととってカメラは撤収。
ここから岩の上に登っていきます。この段階でもうビチョビチョ。
一見よくある滝の写真なんだけど何が恐ろしいって岩に打ち付けた楔に鎖が一本通されただけの超簡易柵しかこの場にないこと…つるっと足を滑らせたら真っ逆さまに滝壺の中。
死を感じる。生き物の領域じゃないな。(入江亜季『北北西に雲と往け2』)
お次はすぐ近くのストロックル間欠泉へ
次にやってきたのは間欠泉の湧き出る地帯。
入り口を入って上に上に歩いていくと今は活動をほぼ停止しているゲイシール間欠泉があります。
ゲイシールが吹き出す瞬間はめったに見られないということで今観光の目玉になっているのはストロックル間欠泉。
数分おきに噴き出す瞬間をカメラに収めようといろんな人種がカメラを持って静かに見守ります。
吹き上がる瞬間に水がモコッっと膨れるんだけどそれがフェイントのときなんかがあってフライングでシャッターを押してしまったり
ただ水が吹き出しているだけなのになぜかクセになる面白さがありました。
ドピュッ!!!
地球の割れ目、シンクヴェトリル国立公園のギャオ
ゴールデンサークル最後はシンクヴェトリル国立公園!
ここではユーラシアプレートと北米プレートの境目である大地の生まれるところを見ることができます。
「北北西に曇と往け」の中では、上2つと同じく慧が清くんを案内した場所。
意図していなかったけど彼らと同じ順番で回っていました。
プレートとプレートの間にはギャオと呼ばれる無数の割れ目があり、そこに溜まった水の中をシュノーケルを使って泳ぐことが出来るツアーなんかもあります。
着いてすぐは話が壮大過ぎて、どれがプレートやらギャオやら何が何やらよくわからなくなるほど規模がとにかくでかい。
この崖のほうが北米プレートで、
たくさんのギャオを挟んだ遥か向こう側がユーラシアプレート
あたりにはたくさんのギャオがあり、覗き込むと底が見えない程の深さで背筋が寒くなります。
水が溜まっているところも、
ここは壮大な地球の息吹を感じるとともに、アイスランドに古くから伝わる神話の舞台にもなってる場所。
事前知識無しで行ったのでもうちょっと下調べをすればよかったなあと後悔。
自然の中の温泉に癒やしを求めてレイキャダールルへ
登場するのは2巻17話、ブルーラグーンはナンパするところだから〜とおじいちゃんに連れられて清くんと慧は渓谷にある自然の温泉を訪れます。
清くんが軽く「温泉までハイキング!」って言ってたので何でも無いやろ^^と舐めてかかったら、
山超え…
谷越え…
山超え…
山超え…
山超え…
絶望すること1時間!!!温泉に入りに来たのになにが起こってるの…?と思いはじめたあたりで
つつつっつつついたー!!!!!!
とにかく果てしなく急勾配の道で行けども行けども峠を超えてもまた上り坂…この日は朝から墜落した飛行機を見に行ったり渓谷をたずねたりであるき通しだったため
川の水と周辺から湧き出している熱湯の源泉が混じっているのでちょうどいい湯加減のところを探してみようと着替える前に特攻したら裸足で歩けるような川底じゃなくて悲鳴を上げて座り込んだ。
着替えをするのはこのどこからでも丸見えの板です。
どう考えても山を登る前に着たほうが良かった。
川が浅いのでみんな寝そべってだらーっと入浴してました。
熱くもなくぬるくもないけど雨が降ってきてしまったので早々に撤収!
ここからさらに奥に歩いていくと小さめの滝があって手付かず感が雰囲気出てました。
滝の裏側を見よう、セリャラントスフォスを目指す
最後は1月に刊行されたばかりの3巻に登場する滝、セリャラントスフォスへ!
3巻で登場するシグルーンという女の子が慧を滝へ案内しています。
アイスランドの一般車が走れる舗装された道路は都市部を抜けるととにかくずーーーっと一本道、ひたすら真っすぐ走っていくと左手にお目当てのセリャラントスフォスが見えてきます。
実はここ個人所有の滝らしく駐車料金が徴収される仕組み!
お値段は700円、ISK(アイスランドクローナ)は円とレートがほぼ変わらないのである。
そしてこんなところでもクレジットカード払いが出来るのでアイスランドでは一円も換金していません。
そしてそして〜
やってきましたセリャラントスフォス!とりあえず同じアングルで。
結構な水量でここでも水しぶきを浴びます!!びゃ!
グルっと回って滝の裏側へ
ものすごい飛沫が飛んできます。岩場なので相当ぬめっているんじゃないかと身構えたが苔もぬめりもなにもないようで日本とは違う自然を実感した。
この岩場によじ登ってウエディングフォトを撮影している外国の方がいた世界は広い。
ここの目玉はもう一つ!メインのセリャラントスフォスを通り過ぎて更に奥に歩いていくと小さな川があります。
そしてその奥に秘密の隠れ家のような泉が!漫画ではここに入っていたけど水の冷たさと水量で断念しました…
長靴があれば行けたけどサンダルだと足が取れそうに冷たかった。
世界最大の露天風呂!ブルーラグーンへ
この他にもいろいろ巡って最終日は世界最大の温泉ブルーラグーンへ!
ここだけは事前に日本から予約をしておきました。
時間帯によって変動しますが、大体7000円から10000円くらいで人気の時間は割高になっているみたい。
一番安いComfortのチケットにも無料ドリンクが1杯ついているので温泉に入りながらジュースやスムージー、アルコールを楽しむことができます。
漫画の中では、1巻3話に登場。慧のおじいちゃんがカトラをナンパしたところです。ナンパというのだろうか。
乳白色のお湯に空が反射して薄い水色に、お湯の湯気があたりに立ち込め差し込む太陽がめちゃめちゃにまぶしい。
お湯の温度は場所によってまちまちなのでいい湯加減を探してうろうろ。とにかく広い!
中にはドリンクバーやシリカパックが出来る施設、ドームの蒸し風呂に室内の入浴場もありました。
得も言われぬ幸福感が…ここは天国…
しかし!ブルーラグーンのお湯はミネラルを豊富に含むため結構肌がバリバリになります、髪の毛も。
日本の乳白色の温泉のようなヌルッとした質感ではないです。
スパを出た後には真水のシャワーブースがあるので日本人としては海水浴に来たような感じでした。
名残惜しいアイスランド
ブルーラグーンの後は市内のホテルに一泊し翌日アイスランドを発ちました。
もうとにかく漫画のこともあるけれどそれとは関係なしにすごくこの土地を気に入ってしまって名残惜しいことこの上ない…
唯一の欠点を上げるなら物価がハチャメチャに高いこと!
パスタ4000から〜メイン5000から〜というレストランが当たり前、地元スーパーも牛肉1パック3000〜物価に見合った収入だとしても強烈。
聞くところによると都市部にあるコストコで大量に食料や日用品を買い込むアイスランド人が主流なんだとか。外資の力恐るべし。
なんにしても次に訪れたときには車を借りて島を一周してみたいなと思うのでした。
出発前に購入したガイド漫画
『北北西に雲と往け』|アイスランド聖地巡礼マップ
漫画に登場している名所をまとめると、
- ケプラヴィーク国際空港
- レイキャビク
- ハットルグリムス協会
- チョルトニン湖
- シンクヴェトリル国立公園
- ゲイシール間欠泉
- グトルフォス
- レイキャダールル
- セリャラントスフォス
今のところはこんな感じ。
西の空港・レイキャビクがあるメインエリアに偏っているので今後もっと東や北の奥地が紹介されるかもとワクワクしています。
今後登場しそうなのは、アイスランド第2の都市アークレイリ。
ミチタカから逃げているフレイヤはこの街を目指しています。
ではでは!次は4巻なのでまた新しい場所がわかり次第追記していこうと思います!
聖地巡礼、お疲れ様でした。
北北西ツアー、行くことになりましたので、参考にないかな、と捜したところすぐにヒットしたのがこちらのブログでした。ブログ名を見て、ここは私の見るべきところだ、と確信し、ここに来る前に買った他の本も(コミックエッセイのやつ)一緒で笑いました。
私自身、英語がさっぱりなので、旅行会社がこの旅、大々的にツアーを組んで下さったものに参加するだけなので、そちら様のように単独はまったく無理で、羨ましく思います。
そんなできない子のためにあると言っても過言ではないツアー。楽しんできたいと思います。
ブログ名に言及されたのは初めてだったため嬉しくなってしまいました。あの詩のようなブログを目指していたはずが大変バラエティ色の強い内容になってしまいお恥ずかしい限りです。
アイスランドを巡られるということで少しでも参考になっていれば幸いです。私自身当時のことを思い返し、懐かしい気持ちになりました。今になって感じるのはアイスランドという果ての国に「何かを見よう」と思って意気込んだあの気持ちは、現地においてどこかとても空回りしていて、まったくルーツを持たないはずの場所にただ「置かれている」という不思議な感覚に包まれていたということです。ふと右を向けば山が、左を向けば滝が、果てしなく続く真っ直ぐな道の両端には一面の苔むした大地がある。日本であればこの全てに名前がつけられ尊ばれているかもしれないものたちは、みなそのまま、山や滝、ただそれだけの存在でそこにある。いろいろな国を見ましたが、もう一度行きたいと思わせる所以は、こんな言い表せないなにかにあるのかもしれません。(ohrsanという方がTwitterにあげている旅行記のイメージが大変良いです)
さてこんな抽象的なことを言われてもお困りになると思うので…
あまり寒くないですが突然天気が変わります、風がとても強いです、登山用カッパ上下が大変役立ちました
とにかくどこに行っても歩きます
どこに行っても名所です
土産物は見つけたときに買うのが吉です、空港にはあまり売っていません(ゲイシールのスノードームを買い逃しました)
現地のスーパーがとても楽しいです
海ばかり見ると思いますが、レイキャビクの海岸も良いです
オフシーズンで人の少ない時に行きましたので、また勝手が違うかと思います。
良いご旅行にしてください。