「佐古、今、めちゃめちゃかわいい、おれ佐古がめちゃめちゃ好きだ」
俺も好きだぁー!!!!!!!!
なんだか今の季節感と相まって読み返しているあいだじゅう幸せでした。
「じゅう」って語感がかわいいね。じゅうき、じゅうたく、じゅうじつ、じゅうよう、じゅうとく…
今日は充実青春充満生活『化学部のメガネ』新井煮干し子強化月間第二作いきまーす!
- 佐古と鮎喰の青春ラブコメディ(コメディ?)
- 青春が青春しすぎていて青春ってなんだっけと遠い目になる
- 「単に人と付き合うってどういう感じか知りてーの」という軽いお誘いで始まった二人の恋の行方は…
公式あらすじ
W理系メガネの 夏の恋は眩しくて
「お前は、おれでいいわけ?」
「いいから言ってんだろ」
「……でもそれ、今までと変わんなくない?」
「うん、だからキスはしてもいーよ」
2年の夏が終わったら、
友達から恋人になる約束をした化学部の二人。
今ひとつ”恋人”がピンとこない鮎喰(黒縁フルフレームメガネ)と、
言葉では「実験だから」と言いながらも
なんとなく嬉しそうな佐古(軽量フレームメガネ)。
初めての経験に不器用ながらも誠実に歩みよる、
化学部のメガネたちの恋の実験。(『化学部のメガネ』新井煮干し子)
ネタバレ感想
まず冒頭、高校1年の夏に公園で本格的な水鉄砲を使った戦争ごっこをしている二人で幕を開ける。
高校一年生で公園で水鉄砲するんですかぁ!?女子高出身なのでわかりませんすごく青春の匂いがします(男二人だけど)
その帰りに佐古は、
「2年の夏まで何もなかったら、付き合おーぜ」
というようなことを言い出して、断ったら気まずくなるなと思った鮎喰はその提案を飲みます。
これはあれですね、自称男友達女友達の
「ぇ〜三十過ぎてもぉ〜結婚してなかったらぁ〜ぅちらけっこんしちゃぉ〜ょぉ〜!」
ってやつですね。
キープですか?
佐古くんはずいぶんと早熟ですね!!!
そんなこんなで、化学部所属でメガネで二人で遊んでばかりいるのに彼女なんて出来るはずもなくあっという間に二年の夏が来てしまいます。
一個上の先輩たちが秀才天才揃いで一瞬部が賑わったものの新入部員もなくほぼ二人だけの部活動。
このあたりから話が進んでいきます。
佐古の想い
とにかく、どんな事が起こっても基本的には何でも無いように振る舞う佐古。
だけど隠しきれない鮎喰への思いがふとした瞬間顔に溢れ出てきてしまいます。
その瞬間がなんとも可愛いこと。
2年の夏に科学室で一年前の約束の話を鮎喰がのんで、
「わ、わかった、おれたちは今日から、こ、こ、恋人同士だ」
といってくれるんだけども、その時の佐古の表情といったらもう堪りません。
こみ上げる嬉しさをぐっと堪えて顔に出さないようにしつつも、驚いたように見開いた目がキラキラと輝いて興奮に鼻の穴が少しだけ大きくなり頬を染めるこの表情。
新井煮干し子はどこでこれを見てきたのか!?
しかーし、その告白の時は一瞬で先生がやってきて途切れてしまいます。
そんなこんなで付き合い始めた二人だけどお互いに恋愛経験なんてあったもんじゃない
「つきあうってなに?」
という状態で、とりあえず朝家に迎えに行ってみたりデートしてたり…キスはしてもいいけどにゃんにゃんはちょっと失うものが多すぎるし…とさぐりさぐり進んでいきます。
どっちにしても、積極的なのは佐古の方で鮎喰は「そういうこと」をしてる自分を想像して見るんだけどさっぱりわかんない様子。
そりゃあそうだ。君ゃあ根っからのヲタクだもの。
どんどん進んでいこうとする佐古になかなかついていけない鮎喰がやっとの事で意識し始めるのは、「宝田先輩事件」のあとになります!長い。
宝田先輩☆
二人の一個上の先輩で化学部所属!この夏に引退しました。
校内表彰で化学部が呼ばれたのもこの、天才宝田のおかげ。
二人の初デート(謎)の現場に現れて、
「何やってんだお前ら、映画か?あれだろ『アストロノート』宇宙からの信号かと思ったら発信源は富士山、富士山地下のプレートのスキマで文明を築いた地底人が出てきたあたりで佐古がキレたろ」
とさっきまでの二人を見てきたように言い当ててしまいます!
このあと課外学習ってことで行った海でも出てくる謎の先輩。
こういうキャラが最高に好きなんだけど、分かってくれる人いますか!!
このいかにも天才肌で常識が皆無という様相をしている男が、ものすごい当たり前の常識を「あたりまえだろ」と振りかざした瞬間が最高に萌える。
作中でも、
「真心のないことはよせ!軽蔑するぜ」
とか鮎喰に行ってくれるんだこれが!もう!!!はぁぁ!!!!
天才宝田ここにあり。
二人の着地点
「真心」と言われた鮎喰は佐古が今まで自分に見せてきた表情や言動を思い出します。
そんなこんなで海に行った帰りに夕焼けの染まる道でキスしてから二人のタガはハズレっぱなし!
青春すぎてもう息切れ動悸めまいに…ハァハァ
こうしてお互いがお互いを意識するところまできたのにまたひと悶着
未熟な恋愛における「この感情は彼に向けられたものなのか」という問題。
別に誰でもいいんじゃないかと思い始めてしまうんだよな、簡単に何かと比較ができない人間とは厄介だ。
しかし読み終わってみるとなんて濃度の高校生活なんだろう。
たなとの「あちらこちらぼくら」が”静の青春”だとすれば、『化学部のメガネ』は動の青春だ。
青春とはなんだろうね。
いまとなっては、しるよしもなし、みつお。