長期連載されたBLをまとめました。
- 長編の定義は10巻以上とします
- BLレーベル以外も含みます
- 個人的に「同性愛」要素があると判断したものも含みます
以下、年代順にまとめています。
出版年は「漫画」の1巻が出版された年を掲載しています。
1977年 『風と木の詩』 竹宮惠子
持ち前の明るさと誠実さで差別に打ち勝っていくセルジュと、校内でのセックスに浸り退廃的な生活を送るジルベール。お互いが抱える深い孤独と輝かんばかりの誇りに気がついたとき、対照的な二人は惹かれあっていく。
(出典:ピクシブ百科事典)
閉鎖しきった少女漫画界の外殻を内側からぶっ飛ばした伝説的な作品。
当時の影響力は凄まじかったというが、色んな所からめちゃくちゃ叩かれたらしい。
ちょっと昔過ぎて実感がないが、いざ『風と木の詩』を読んでみるとその理由がわかる。
圧倒的に気持ちのいい話ではないのだ。
終始薄暗く陰鬱でジルベールの心のざわめきが読者を不安定にさせる。
「おい!!ジルベール!!もういい加減にしとけ!?」
と突っ込まずにはいられない。
それでも、2ちゃんのやおい板で「風と木の名無しさん」とタイトルをもじって使われるほど業界的にはバイブルだし、悪目立ちしてでも道を切り開いたという点では先駆者である。
1980年 『日出処の天子』山岸凉子
あらすじある春の日、14歳の蘇我毛人は天女と見まごう美しい女童に偶然出会い、ほのかな恋心を抱く。それは実は10歳になる厩戸皇子であった。年若くとも非凡なる教養と才能、政治的手腕、威厳を持つ厩戸は並み居る臣下からも一目置かれる存在となる。しかし厩戸は自らが持つ不思議な力ゆえに、実母の穴穂部間人媛に恐れられ疎まれており、母から愛されない事に苦悩していた。同じく厩戸の不思議を感知した毛人は、時折垣間見る厩戸の孤独に心を痛める。尊敬と畏怖と好意を持って厩戸に接する毛人だが、厩戸にとって毛人は自分の持つ超能力を共有できる唯一の不可欠な存在であった。しかし毛人は無意識下でしか超能力を引き出せず、自分の能力を自覚していない。
厩戸の毛人への思いはやがて愛へと変わってゆき、毛人も自分が厩戸に惹かれていることを感じるが、やがて石上神宮の巫女であった布都姫と出会い、恋に落ちてしまう。
(出典:Wikipedia)
はい、『風と木の詩』から三年後またぶっ飛んだ作品が。
名作の中の名作の中の名作です!!!
厩戸皇子が蘇我毛人にベタ惚れして好きぃ!!!って言えなくて苦しむ話です。
めちゃくちゃ怒られそうな説明をしてしまったがホントだ。
毛人のことが大好きすぎて、毛人が惚れた女をよそのおっさんに嫁ぐように仕向けたり、毛人の妹をあれやこれやして最終的に嫁にもらうけど放置!とかしてます。
そんな話じゃなかったはずなのに…そんなことしか思い出せない…おかしいな…
山岸凉子さんの作品はスラムダンクなどと同じく電子化されていないので気になる方は書籍を購入してみてください。
1985年 ジャック&エレナシリーズ 清水玲子
あらすじ24世紀。ジャックは約170年前に作られたヒューマノイド。ある日、自殺しようとする最新ヒューマノイドのエレナに出会った。エレナは200年以上前に作られ、最初の主人だった天竜を忘れられず、自殺を繰り返していた。ジャックもまた、170年前に出会ったエルを忘れられず、容姿が良く似たルイスという人間の女性と交際していた。一人で生きていけるロボットでも永遠を生き続けるには、思い出だけでは生きていけない。死なないからこそ、一人では生きていけないのである。
(出典:Wikipedia)
ジャック単体での登場が1985年、その後『ミルキーウェイ』でエレナが登場します。
シリーズ物で唯一の連載作が『竜の眠る星』ここでエレナの過去が明らかになります。
とここまでで既に3作品出てきているように、シリーズ物でめちゃくちゃバラバラに出版されてます。
買い集める時本当に困った。
今はどこかの親切なお仲間がwikiを作ってくれているのでみんなハッピー
同性愛のくくりに入れていますが、エレナには性別がありません。
ジャックもエレナもアンドロイドの無性です。
アンドロイドだけど、人を愛することはできる。
生殖はできなくても、人を愛することは出来る。
人間という雑味を含んだ存在から、何もかもを取り払うとあんなふうになれるのかな…と読むたび思います。
1987年 『BANANA FISH』 吉田秋生
あらすじダウンタウンのストリート・キッズのボスとして君臨するアッシュは、コルシカ・マフィアのボス ゴルツィネの指示で銃撃された男から、「バナナ・フィッシュ」という言葉と「カルフォルニアの住所」を伝えられるとともに、小さなロケットを受け取る。
「バナナ・フィッシュ」は廃人となった兄のグリフィンがしばしば口にしている言葉であり、アッシュは調査を開始する。ゴルツィネは「バナナ・フィッシュ」により中米でクーデターを発生させ、南米からのヘロインルートを手に入れようと米国の政治家や軍人とともにプロジェクトを進めており、アッシュの調査を阻止しようとする。
日本人の大学生・英二は取材を通じてアッシュと知り合う。アッシュの周囲で起こる血生臭い事件に遭遇した英二は、アメリカに残り、アッシュと「バナナ・フィッシュ」を巡る陰謀に巻き込まれていく。
(出典:Wikipedia)
アニメになりましたね。
是非原作をどうぞ^^
世界の作り込みキャラクターの心情すべてが素晴らしすぎて、たまにラストシーンを思い出してはうっ…っとなります。
すごい作品に出会うと脳みそジャックされる現象。
この作品については絶対にネタバレを見ないで読んでほしい。
1991年 『海老原さん家は今日も大変!』 東宮千子
あらすじ男同士の夫婦に育てられたタイちゃんは、ちょっぴり体は弱いケド、心優しい男の子。フツーの人生を望んでるタイちゃん。なのに『運命の相手』一生と出会ってからは、ちょっぴり「フツー」とは縁遠くなったみたい…?
(出典:『海老原さん家は今日も大変!』)
1部2部をあわせた計17冊がKindle Unlimitedで無料で読めます。
ほのぼの学校ものです!たまにほのぼのしてないけど。
海老原さんちは男夫婦、その一人息子タイちゃんは心臓に疾患を抱えていてちょっと身体が弱いけど素直ないい子。
そんなタイちゃんが、運命星の相手である一生と出会うことで数奇な歯車が回りだします。
一生はとにかくなんでも持っていてなんでも出来る、故に何にも興味を持てないでいたんだけどタイちゃんの存在が徐々に彼を変えていきます。
1部と2部がありますがあっという間に読み切ってしまう。
1992年 『っポイ!』 やまざき貴子
あらすじ天野平は背が低く、見た目は女の子のような中学3年の男の子。しかし中身は根性があり負けず嫌いで男らしい。平と親友の万里を中心に中学3年の微妙な思春期の恋や受験の悩みを描く。コメディーからシリアスまで、さまざまなテーマを描く青春ストーリー。
(出典:Wikipedia)
俺のバイブル。
年代順で調べていた時に設定がよく似ている海老原さんとどっちが古いかなと思ったら…はい。
読み始めた頃は年下で、とうとう年齢を追い越して、二倍の年齢にもなって…ときたら読み返して多少なりとも違和感があるはずなんだけども、彼はずっと私なんかより大人でいろんなことを教えてくれる。
1992年 『KIZUNA−絆−』 こだか和麻
やっとBLっぽくなってきた。
今もご活躍のこだか和麻先生のヤクザものです。
ヤクザものでくくって良いのか?とは思いますが、ェロありギャグありシリアスありしっかり書かれていて読み応えがある作品です。
有名なので省きますが、一個だけ言わせてほしい…昔はモブレって結構普通だったよね。
関係ないけど、最近のこだか先生の絵は頭部がめちゃくちゃでかくて身体が華奢すぎやしないだろうか…?
1992年 『X』CLAMP
生きる伝説「カードキャプターさくら」も「聖伝」も「合法ドラッグ」もちょっとちょっと!な展開があるけど一番はこれかなあという『X』。
さくらは完全にアニメのほうがぶっ放しててやばかった思い出。
雪兎とお兄ちゃんが玄関で…のシーンはもうどうしたら良いのか解らなくて一時停止したまま動けなかった記憶。伝説。
ちなみに、未完です。猟奇的な事件がいろいろあってアレでアレになったそうです。
内容がアレだから。
先生!!!続きはいつ出るんですか!?もう書かないんですか!!!???
話の本筋に関わることだけど、「恨み」ってものすごい愛情だよね。
1993年 『残酷な神が支配する』萩尾望都
何度でも紹介する!
脳に刷り込まれてそのうち読みたくなりますように…
グレッグという義理の父親から性的虐待を受けた少年ジェルミが、そのトラウマと殺人の罪に苦しむ話です。
彼を救おうとするのが、義理の兄になるイアンという少年なんだけど、ただ「愛する」というだけじゃ表現しきれない関係性が後半ずっとテーマになります。
ジェルミが最後まで笑わないのがすごく苦しい話だけど最後に光が差したような気がする希望の見える終わりを迎える。
1994年 『G・DEFEND』 森本秀
現在も連載中のご長寿BLです!
現在56巻まで出版されいていてそのうちの49巻まではKindle Unlimitedで無料で読めます。
一言で言うと、私の中のサザエさんです。
毎回なんかあるけど絶対同じとこに落ち着くから。
ちょっと先の未来でテロに備えて国会警備隊という組織が活躍するお話です。
国会警備隊は共同生活を送りながら、国会議事堂の警備や国会議員の安全を図るそのままの仕事ですが警備隊の中でも「隊長」と呼ばれる役職に付く人はテロの対象になりやすく何人も命を落としていました。
そしてまた新たに新隊長となった石川悠(はるか)は怪我が絶えない毎日を送っていたが強引に隊長のSPとなった岩瀬に次第に心を寄せて〜という感じ。
1995年 『HEN』 奥浩哉
「GANTZ」や「いぬやしき」で有名な奥浩哉先生の漫画です!!
鈴木という身長190cmでイケメンで見た目だけヤンキーでフランダースの犬見て泣いちゃうような高校生が、ある日ひょんなことから同じ高校の佐藤(男)を好きになってしまう。
佐藤の顔が可愛いっていうのもあるけどなんかもう本能的に一目惚れしてしまった鈴木は、一回フラれて声出して泣きながら帰ったりするのに次の日には、
「と、友だちになってくんねえかな…おれ…友達すくねえんだ…」
とか言ってきてしまってもう!???
佐藤はとにかく拒絶して鈴木を受け入れないんだけど、それでも一途に戦い続ける鈴木が哀れで哀れで…
1996年 『同棲愛』 水城せとな
水城せとなの作品を一つでも読んだことがある人なら、これがただのBLではないことがわかるだろう。
中学生からはじまって二十歳を過ぎるまでの期間、少年たちの感情を豊かに描き出しています。
ハッピーエンドばかりじゃない、ということが大切なものだと教えてくれる作品。
1996年 『LOVEMODE』
ほぼコレがデビューだなんて信じられない完成度の作品です。
『是』や『花鳥風月』と同じように、複数のカップルの話がかわりばんこに登場して関わり合っていく「人間喜劇」のような形式。
直也という男の子が出てくるんですが、いちばん好きです。
彼はほんとにたまたま蒼江に拾われなければどうなっていたことやら…
直也の問題が解決した時に
「今回はちょっとつらかったな」
というニュアンスのセリフを蒼江が言うんですが、チョットどころじゃねえ!!!と突っ込みつつも「重く受け止めるな」「大丈夫だ」というような彼なりの優しさが感じられるセリフでめちゃくちゃ泣きました。
1997年 『D・N・ANGEL』 杉崎ゆきる
これはアニメにはまってそこからズブズブと埋まっていった作品でした!
同じ様な方も多いのではないか?
双子の女の子が出てくるんだけどまあそれは勝手に空気として認識しないでおくというめちゃくちゃ都合のいい読み方をしていました…
打ち切り?と言うかたちでずっと未完のままだったのが再開する!?
1997年 『幻惑の鼓動』
最近一気読みしました!
面白かったー!!!
けど、未完です。
五巻のあたりまでは完全に騙されていたけど、だんだんと匂わせがすごくなっていって伏線も沢山あって、「ほらみたか!!!!」となった場面はめちゃくちゃ気持ちよかったです!
ネタバレふせます。
お話的に誰とくっつくとかはないのかもしれないけど…それはそれでめちゃくちゃ難しそう。
溺愛系やハーレム状態何かが好きなら読んで損はないです。
1997年 『困ったときには星に聞け』
『SUPER LOVERS』が売れに売れてますがその元となったような作品です。
学園ものですが、あべ先生の力量ゆえかメインカプからあまり脱線したりはしません。
たまにクラスメイトとか、上級生の話があるけど。
主人公は宝という男の子で高校の入学式前に祖母を亡くして一人だけ遅れて入寮します。
その相部屋となるのが保坂清嶺というなんでも出来るけど傲慢なやつ。
お約束どおり、最初は反発しあってから仲良くなり二人無くてはならない存在になって…という感じです。
アフリカに行く話があって取材旅行は最高だったんだろうな…
読み応え抜群!
1998年 『アニマルX』
これは私の中で革命的な漫画。
猫族とか犬族とかよく設定であるけども、これは恐竜が進化し人間として生き残ったという設定です。
細々と各地に村を作って隠れ住んでいたダイナソーロイドと呼ばれる血族たちは、男ばかりが生まれてしまって子どもを生む女がいない。
そこである男が、無断で実験体に薬を投与して子どもを産める体に改造してしまう。
それが主人公の鮎川裕司、そんで相方がダイナソーロイド浅羽湊。
裕司の中にはきちんと男の意識があって、そりゃもともと普通に男で彼女もいたんだから当然なんだけど。
それでも湊と苦楽を…ほぼ生死を!?ともにする内に、新しいカタチを見つけていく。
続編もあってちょっと長いけどぜひ読んでもらいたい作品。
2002年 『お金がないっ』
1990年代に出版された小説が一番最初らしいです。
漫画しか手を出していないのでどの程度違うのかもちょっとわかりませんが、一種ジャンルを確立してるかなあと思う作品です。
これに人生を狂わされた高校の同級生がいたのを思い出した、アーメン。
2003年 『SILVER DIAMOND』
BLと言っていいのか?という微妙な感じなんですが、
一言でまとめると、異世界トリップファンタジー主人公は絶滅危惧種!
というような感じでございます。
2004年 『SE X PISTOLS』 寿たらこ
寿先生の作品は世界観が強烈で、その中でも長く続いているセクピスにハマりきっていた頃は、あの人は猿だな……あいつは猫っぽいぞ…などと外で考えていました。
結構楽しいんだこれが。
あいつは猿だな率がめっちゃ高いけど。
最近は結末を迎えるために必要な展開なのか、人気作なので引き伸ばし作戦なのかわかりませんが完璧な結末を迎えますようにと祈ってます。
2004年 『是』 志水ゆき
言わずと知れた!
清水先生は複数キャラクターを登場させることでシリーズ的に長編を作ることに長けた人だと思います。
いま連載してる『花鳥風月』も同じ感じ。
『是』の中で個人的に一番好きなのは、近衛と琴葉、ショタ好きなので。
皆幸せになって終わったけど、紙は修復できるようになったとして人間たちが死んだら紙は…?とか、そもそも修復できる人がいなくなってしまったら…?とかたまに読み返しては不安になるのは私だけでしょうか。
2005年 『今日からマ王』
天下のNHK様である時期までやっていたアニメは神がかっていたよなと懐かしむ。
大どろぼうJINとか大好きだったでよ…ヒェァ
これもその中の一つでアニメからはまって小説・コミカライズとズブズブ沼に落ちました。
有利とコンラッドの組み合わせが好きすぎて、そもそも有利の前世がコンラッドの好きな人ってところで駄目でしょ。
果てしなく〜!で始まる主題歌があるのですが、裏切ったと思っていたコンラッドが有利をかばうために飛び出してきて矢を受けた瞬間これが流れて…
コ、コンラッドぉおおぉおおおぉ!!!!!!
と朝から咆哮、幸せだったあの頃…
アニメも漫画もおすすめです。
2005年 『ゴールデン・デイズ』 高尾滋
8巻…
これはもう完全に白泉社の花ゆめでやってたBLです。
タイムスリップものなので、このテーマを扱う場合①帰る②帰らないこのどちらかの選択をしなければならなくなる。
でも基本的にタイムスリップを扱う時点で①が起こることが確定で…
「誰かの幸せを願う」「愛する人の世界を護る」というような、無償の愛を描いた作品です。
ぜひ、ネタバレ無しで読んでもらいたい。
ハッピーエンドはハッピーだとは限らない。
2007年 『きのう何食べた?』 よしながふみ
一般で書きながら裏で同人を出すというのは結構な数の作家さんがしているけど、よしなが先生は抜きん出てますね!?
同人誌は大変に大変だった。シロさんったら…
普通にお料理本として楽しんでいるんですが、一個だけ作って不思議な食べ物になったのがひじきとコーンとトマト缶を煮る洋風ひじきってやつです。
謎の食べ物。
2008年 『艶漢』
もっと古い印象があったのに比較的新しい作品だった!
絵が独特で少し笠井あゆみ先生を思わせるようなところがありますが、内容はそんな儚げな感じじゃ全く無いです!
ギャグ方面強めで、『艶漢』というタイトルがよく生きている。
おわりに
とりあえず、思い出せるものだけまとめました。
長編はなかなか金額的にも時間的にも手が出ないことが多いけど、明日この続きを読もう、今日帰ったらあの続きを読もうと思える最高の栄養剤だと思ってます。
追記すると思います。
すべて読んだものだけど、本がほとんど実家にあるため確認のしようがない部分が多々あって…
間違いがあったらすまんな、許して。
「エロイカ」や「パタリロ」は入れませんでした。なんかもうぶっ壊れてる印象なので。
興味のある方は手を出してみては…
年代順でまとめてみると、その時代ごとにこの頃は世相を反映したものが多いな…とかファンタジー作品が近年現状気味とか、意外に面白いなと感じました。
個人的には90年代前半のあたりが好きです。
偏った読書をしないようにと思っているのですがなかなか難しいですよねぇ…
他にもこんなのあるよ!と若輩者に教えていただければ幸いです。