「…お慕いしています、それがたとえこの国にとって悪であっても、
初めてお目にかかったあの時から」
- 少し古い絵柄にヴィクトリア朝の時代背景がマッチして貴族と使用人の禁断の愛に引き込まれる
- イギリス風に染まらないシノワズリーな李悠にハァハァ
- リチャードの家に代々仕える執事が二人の愛を隠そうと必死(笑うとこ)
公式あらすじ
繁栄を極めるビクトリア朝・大英帝国。変人貴族と噂されるリチャード・バーンスタイン伯爵の優雅な趣味は、妖し気な小説の執筆と東洋の美少年を溺愛することでございました。
(『翡翠のためいき』甘野有記)
『翡翠のためいき』のネタバレ感想
- ハーレクインっぽいけどもっと軽い
- 旦那様<李悠と、旦那様>李悠で主従関係がコロコロするのが美味しい
- 執事のクレメントが二人の関係を隠そうと必死過ぎてストレスで死にそう
①ハーレクイン?
お金持ちの旦那様が不幸な生い立ちの子を拾ってきて〜という始まりと、大和和紀や一条ゆかりを思わせるようなちょっぴり古くさめな絵柄はまさにハーレクインを連想させる。
BLでもハーレクインはちょっとぉ…と思ったそこの奥さん!ちょっとまっとくれ!
娼館で幼い頃にお客を取らされていたという悲しい生い立ちを持った李悠は、旦那様や執事のクレメンス、そして旦那様の風変わりな気質に影響された屋敷の使用人たちにそれはたいそう愛されて育ったのです。
しっかり愛情を受けて大きくなった李悠は立派にお屋敷の一員で悲しい顔を見せることは(たまに事件があるけど)ありません。
じゃあ何の話なのって?
変態貴族の旦那様が巻き起こす色々な騒動(李悠かわいさ多し)と、変人旦那様が引き寄せる変人の巻き起こす騒動が主かな…そんでそのあとイチャイチャするんだ…
一本筋が通った話よりも一話完結の話が多くてシリーズ5冊のどこから読んでも問題ない名作です。
②主従関係がコロコロ変わるのが美味しい
旦那様がダメ貴族であまりご立派なことをされていない!といつも怒っている李悠。
もっとちゃんとしてください!もっと貴族らしくしてください!と言ってはいるのだけど、まあそんな風にかまってくれる李悠が可愛くて旦那様的にはどこ吹く風。
旦那様ことリチャードには弟がいて、その弟に家督は譲って自分は李悠と仲良く楽しく暮らそうと考えているけど、実は寄付をしたり貴族らしく慈善事業に取り組んでいる一面もある。
普段はそんなこんなで、李悠に昼間から迫って一発殴られたり趣味の妖しい小説に李悠のことをかいて怒られたりしているんだけど、やっぱりたまに関係が逆転する時がある。
李悠はまだなんだかんだ言って16か18歳くらい…執事のクレメンスが手塩にかけて育てたのだからお屋敷のことはなんでもできるけど心の中はやっぱりたまに子供の部分が顔を出す。
そんな子供の部分が出ているときの旦那様の包容力と言ったらもう紳士そのもの。
旦那様は普段変人だけど、いざという時の決断力と包容力ったらもう奥さん!
③執事のクレメント
毎回お話の最後のに華を添えてくれるのが執事のクレメンス。
彼はリチャードと李悠の関係を知っていて、主である旦那様の醜聞を外部に漏らすまいと必死。
李悠のことは子供のように思っているので彼の幸せは見守っていきたい…
と板挟み状態でなんとも胃痛の絶えないポジションに居るクレメンスは、胃はもちろんのこと腰を壊すし夜風で風邪は引くし、二人の愛を心配しすぎて身体を壊しまくっている。
正直な所、お屋敷の使用人たちはもう知っているんじゃ?という感じなのでお客さんがいない限りそんなに必死にならなくてもいいんだよクレメンス!といってあげたい。
おじいちゃんが心配だ。
最初の頃は、「私が見たのは幻だ…」と現実を受け入れるのを拒んでいたクレメンスだけどもう最後の方は諦め気味になる(笑う所)
終わりに
現代を舞台としない漫画にやっぱりこの雰囲気の絵柄は場をもり立ててくれるなと思う!
最近流行りのスラッとした男の子たちもいいけど適材適所でいろんな絵柄の漫画が読みたいなあと思うのであった。