表題作を試し読みしたところ、アフタヌーン系の雰囲気を踏襲した不思議BLのようだったので詰め合わせになっている本作を購入してみた。
ところがどっこい、ほんのりSF風味かと思いきや、どこか最後にモヤッとさせる読後感を残すオールマイティな短編集だった。
以下、収録作
- とろける恋人
- 天使の庭
- サーカスも夜半過ぎには 前編
- サーカスも夜半過ぎには 後編
- noisy jungle
- とろける恋人 その後描き下ろし
面白かったランキング
- noisy jungle
- サーカスも夜半過ぎには
- とろける恋人
- 天使の庭
それぞれの内容をちょっとかいつまんでご紹介&感想
「noisy jungle」
今よりももっと先の未来、生身の人間は姿を消し街をゆくのはアンドロイドたち。その街の一角にある、ホログラムペット専門店で店長として働くユメオはある「ペット」を飼っている。ホログラムペットが主流の昨今、そのペットには随分とお金がかかるようで眼球パーツを直すお金も惜しい様子。
仕事を終えて家に帰ると、待っていたのは生身の男の子。飛びついてべろべろ舐め回しご飯を要求する。そんな可愛いペットなのに、ユメオはどうやら欲情してしまうらしく…
(『とろける恋人』山田袋)
これは設定がしっかりできていてよかった。
アンドロイドが主流となって生活している社会で人間は知能を失いどのような扱いを受けているのか絶滅してしまったのかまでは描かれない。
ただ、ユメオが部下にそのことを話さないところを見るとペットとして買うのは違法でないにしても随分珍しいケースのように感じた。
更にそこに絡んでくるのが、アンドロイドを作った人間が彼等に性交の能力を残したこと。
生殖機能のないアンドロイドはなんのために性交をするのか。
そんでもってこの、生身の男の子の反応を逐一分析しながらせっせと励むおじさんがすごく変態。
「中が振動した。反射だ、動物の…」
「アンドロイドの体から尿道球腺液なんか出ない」
とか!
なんですぁ!!?尿道球腺液ってぇ?!!
とっても可愛い話だった。
「サーカスも夜半過ぎには」
新しくサーカスに入ったルーチェは踊り子としてショーに出ることになった。でも、同室になった猛獣使いのヤンは無愛想でそっけなく部屋にもめったに戻らない。
実はそれには彼の秘密が関係していて、まず明らかになるのは「血」がだめだということ。ルーチェはそんな事情があったのかと、話してくれたヤンと次第に心を通わせる。しかし彼にはもう一つ、血を嗅ぎすぎると狼男のように変貌してしまうという秘密があって、とうとうそれを知られたことに絶望するヤンにルーチェは
「何かあったら俺が君を助ける。約束するよ。」
と誰にも言わない約束をする。
そうしてある日、ルーチェは踊り子として舞台に立つための衣装合わせをしに団長の部屋に呼ばれるのだが…
(『とろける恋人』山田袋)
とりあえず団長はクズ!
あっ、と部屋に呼ばれた後が想像できたそこのアナタ。変態おじさんの素質がありますよ。
クズオブクズがいっぱい出てくる中で、めっちゃいいこじゃんルーチェたん!!!と思うのだけどよーく考えると一番病んでてどうしたらいいのかわからなくなる話…
「とろける恋人」
これはもう読んで感じてほしい話。見た目って大事ね。
設定としては、ブヨブヨの宇宙人に好きな人の形を取らせて心を満たそうとするけどなかなかそうはいかないストーカー君の話。
ブヨブヨが出てくるSFチックな漫画で似たようなのがあったよなあとずっと考えているんだけど思い出せない。『なるたる』のような気もするけどなんか違う。誰か知っている人がいたら教えてください。
全てを描かない美しさ。
小説でも漫画でも言えることだが、「足りない部分を補いながら読む」という行為は脳みそに快楽を与える。
足りないからこそ妄想の余地があって二次創作が生まれるし、足りない部分を自分で補うからこそその作品への愛着が湧く。
本を読んでいるとたまに、そんなことまで説明すんなという気持ちになるのでそこは本当に山田袋さんうまかった。
人は100知ると他人にも100教えようとしてしまうが、100を1にして伝えられることこそ至高だと思っている。なんでも親切丁寧アルソックでは面白くない。
最後に一つだけ難癖、最下位にした天使の羽やサーカスなんかは最後のどんでん返しが弱い。
これだけ自分のものにして数ページにまとめられる手腕は素晴らしいが、得意な部分を伸ばしてもっと面白い作品を読ませてほしいなと今後に期待マン!
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