「なんだったら横井のくるぶしだけで、俺の俺が…!!」
台詞回しが独特で突飛な内容とは対象的に全体がバランス良く書かれていた!
漫画として絵が付随していなくても文章だけで読ませるセンスがある。
重い実さんの作品は初めて読んだけど、他の作品も買います!
- 天才横井と奇才吉岡の思春期ムラムララブコメディ
- 甥LOVE叔父さんと弟愛お兄ちゃんが華を添える
- 結末の結び方に余韻があって最高にうまい!
ネタバレまとめ
試し読みのチョット先までご紹介
たぶん、俺達は勉強のしすぎだったんだと思う。
「やべぇ」
「どうした吉岡」
「…俺、今息してなかったわ」
ひゅっと喉を鳴らしてそう答える。
「んだそりゃ?気をつけろよ」
そう横井に言われて、おうと返事をした瞬間手元においてあったコップをひっくり返してしまった。
「大丈夫だ吉岡!教科書は濡れてない!早く拭け!」
とっさに教科書とパソコンを机の上から救出した横井はぼっとする吉岡にそういった。
ゴシゴシと水分を拭き取りながら吉岡がブツブツと何か言い始める。
「俺ら勉強しすぎじゃない?」
「仕方ねえだろアホみてぇにレポートあんだから」
「高校生活って勉強だけじゃないでしょ?青春は?どこなの?」
「…うん、理系の男子校だから女の子は難しいかもな」
「ああもう無理ゲーなんだ…もう俺の高校生活にバイトとかチュウとか組み込まれてねえんだ…チュウ〜チュウウ〜ベロチュウウ〜」
「さり気なくレベルあげんな」
ブツクサと暴れている吉岡を尻目に横井はさっさとパソコンに向き直って課題に取り組んでいる。
「知ってるか横井、唇の柔らかさってのはな男と女では…」
「吉岡、俺は頭がいいからなみなまで言わなくともわかる」
「そうか、じゃあ話が早いな、横井、お前も、興味あるだろ」
二人とも「おいそろそろやめようぜ」みたいなことは言わなかった
気がついたら部屋の中はもう薄暗くて…
玄関の開く音で二人同時に我に返る。
「兄貴だ」
「冬司いるのか」
「あ、ああ、兄貴おかえり、いま友達とレポート書いてるトコ」
「お、お邪魔してます!」
壁越しにそう三人で言葉をかわす。
吉岡は横井の上に乗りかかったままで気まずい沈黙が流れた。
「レポートの続きやろうぜ」
その後のレポートはものすごく捗った。お互いの顔を見る余裕すらないくらいにレポートと向き合った。そのとき作成したレポートは好成績を収めたんだ。
たぶん、俺達は勉強のしすぎなんだよ。
感想
重い実さんの作品を読んだことなかったんで試し読みでありがちな話かなーと思いつつ購入したら、ありがちではあるけれども要所要所でスパイスが効いていてコメディ色もいい具合でとても面白かった。
まず、進学校で男子校でさらに理系という設定だからガリガリ勉強し無くてはならない中で抑え込まれた思春期のムラムラが手近な人間に向かってしまった〜というありがち設定の中に、高速速読ができて今までできないことは何一つ無く焦ったことすらないという完璧な天才横井と一歩間違うと奇人変人の類になるであろう吉岡が合わさって何とも言えない独特なお話に仕上がっている。
絵についてはうまいんだけども、書き分けが出来ていないので髪型と髪色で大体判別するしかない感じだけどもこの人の本に限っては別にそれが苦ではなかった。
思うに、特徴的な台詞回しとキャラクターの個性で絵を追わなくても文だけで内容がガッと頭に入ってくるからだろうと思う。
セリフが浮いているわけでもなく、何か単調すぎるわけでもなく、いい具合に芝居がかっていて時に際立ったセンテンスを入れる面白さがあるなあという印象。
甥LOVEおじさん&弟愛お兄ちゃん
この主人公たち二人の他に、行き違いの要素となる親族が二人登場する。
まず、横井の方の母親の兄、関係性は甥と叔父になる画家の登場である。
横井は天才なのでさくっと課題を終わらせては吉岡にバイトと言って消えていくのだが、そのバイトというのがこの叔父の絵のモデルをするというものだ。
マッパモデルな!
横井の両親が海外に行っているのでその間叔父と一緒に暮らしているという設定で、モデルをしてる現場を吉岡が目撃してしまうことで話が展開していく。
そしてもう一人風を巻き起こすのが吉岡の兄である。
この吉岡という男、賢いんだかなんだかよくわからない男で中学に入った当初NASAに入りたいんです!と偏差値より遙か上の高校を希望して熱心に勉強していくうちに本当に手が届きそうになっていたんだけども、だんだんと身が入らなくなっていって(NASAに飽きたか?)このままでは合格が難しいとなった時に救世主となったのがお兄ちゃんの存在。
女慣れしていない弟を奮起させるために自らが女子高生となって家庭教師役を勤めるという作戦。
さすが吉岡の兄だな、頭大丈夫かな。
まあその作戦がしっかりはまって吉岡は無事高校に合格することが出来たわけだが、お兄ちゃんは女装が面白かったらしく高校に入学した後もたまに女子高生に変身している。
これがのちのち波乱を巻き起こすことになるのであった。
この兄と叔父に共通していることで、「うちの子に手を出して!許しません!」というような溺愛しているがゆえの独占という傾向が見られないのが面白かった。
親族だし好きだけどそれとこれとはというような、どこかあっさりした人たちの中で際立って目立つ奇才吉岡、いいぞ、負けるな吉岡!
学業という檻の中で恋をするということは
結末がたいへん印象深く秀逸な出来だった。ぜひ見てほしいが、最後の文句を引用する。
いつまで気づかずに過ごせるのだろうか
自分で気づくことなく、世の中には吉岡にふさわしい人間が、俺の他にいることに気づくことなく
高校は、まあ大丈夫だろう、大学もなんとかやり過ごせるかもしれない
でも社会に出たら、柵で囲われた小さな草地を出て大草原に降り立ったら?
世界は広くて色んな人間がいるだろう、俺よりも美しい人や俺よりも優秀な人がいて皆が吉岡を見つけるだろう
吉岡も皆を見るだろう
頼む、ずっと気づかないでいろ
(『放課後のYくん』重い実 より)
『放課後の…』というタイトルが最後に回収されていく。
吉岡と放課後を過ごすことが出来る間、学業をともにすることが出来る間だけは彼のことを手中に収めておくことが出来るとはっきり横井は感じている。
横井の方が少しだけ理性的で、吉岡のほうがどちらかと言えば本能で選択をしているような印象を受けるが、その吉岡の視線が自分から離れていくという予感を横井は彼に抱かれながら感じている。
ただ、読者としてははっきりどちらに転ぶともいい難い終わり方となっていた。
二人の行く末がどこへ向かうかはわからない、ただ「放課後」はいつの日か終わりを告げる。
禁断の恋で学生で直情的で気まぐれで…儚い終わりが訪れないように願う。
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