エレベーターと聞いて、そのものが想像できる人ならば密室空間の居心地の悪さや移動が目に見えない違和感、息苦しさなどあまり良い想像をしないだろう。
あの空間では誰しもが無にならなければならないのだ。
言葉を発すればその箱の中にいる人すべてに筒抜け、強制お口チャック大会である。
生理現象も抑えなければならない。
降りていった人間の置いていった残り香はすべて乗っている人間のせいになる不思議な空間。
はい!
今回はそんなエレベーターの中で事に及んでしまいましょうよ!という本
じゃっとあらすじ
都内IT会社で働く高杉渉は毎日残業休日出勤!社会の歯車一直線!
そんな高杉をよそに、同期だけど年下の小柳尋(じん)は鬼のように仕事が早く残業なんてしたことがない。
「結構どんくさいんですね、ただでさえ要領悪いんだから自己管理ちゃんとして下さい」
となんやかんやでいちいち憎たらしい口を聞いて渉に突っかかってくる。
そんな花金のある日、上司の一声で飲みに行くことになった同僚たちだが、渉は休日出勤はしたくないと一人残業に熱を入れる。
ちょっと一服と、栄養ドリンクを買いに社内の自販へ赴くと帰ったはずの小柳が現れた。
朝の言いようにまだムカついている渉は、嫌味を言いながら逃げるとさっさとエレベーターに乗り込んで仕事に戻ろうとする。
渉を追いかけながら小柳は、エレベーターの制御パネルの鍵をこっそり持ち出していて…
(『エレベーター・ストラテジー』春之)
わっふるわっふる(死語)
こんな感じで、三話までは平々凡々!
ところがドッコイ最初から仕込んでいたのか、この展開に持っていく予定だったのか、四話で新キャラが登場して大変面白いことになります。
単純に、エレベータープレイでしょ〜?と思っていただけに、横っ面を叩かれた気分。
すみませんでした、左の頬も差し出します。
単純にネタバレしてしまうと、渉の過去の男(変態エリート既婚子持ちおじさん)が絡んできます。
ただそれだけではなくて、話の一番最初のあたりとぐるっとそこでつながって
あぁ〜!!!
という気持ちよさがありました。
しかしまあ、エレベータープレイは性癖かしらね。でも戦略だから、追い込んでくっちまおう!と思ったのね、やあね最近の若い子は。
ちなみに、エレベーターほとんど毎日複数回、ホテルに数回、会社の応接室で一回、ラブラブになってからわたるんのおうちで…らしいです。書いてあるのは6回くらいだけど。
ロン毛フェチ刈り上げフェチ
今回、表紙ではこんな頭してますけど

これが、最中に乱れて張り付いて…ホブッフォフッ…
受けが、女形になってるロン毛は嫌なんだけど、こういうちゃんとおしゃれな男のロン毛は最高ですわほんまに。
二人でお風呂に入ってるシーンがあるんだけど、そこで恋人繋ぎならぬ、恋人入浴…?してるんだけども、そこで攻めの小柳側からロン毛が首筋に張り付いて鎖骨が見えて…
(;´Д`)ハァハァ
よのなかにはへんたいがたくさんいるんだなぁ…
攻めも受けも人間的な魅力が強い
きちんとキャラクターが描かれているので、行為の描写にもリアリティがある。
「受け」または「攻め」の 皮をかぶった人形ではなくて、きちんと働き生活し暮らしを続けている人間の行動描写が強い。
最後の方でやっと部屋に上げてもらえる小柳くんだが、渉の部屋は適度に汚くて生活感があって落ち着いて…一つ間違えば結ばれることはなかったであろう二人なのでこのまま幸せに暮らしてほしい。
と、真面目なことを言っているのにふと頭を過るのは